SciPy Japan 2019 に参加しました。
2019年4月23-24日に開催された SciPy Japan 2019 に参加しました。
マンダリンオリエンタルで開催、参加費54,000円 / US$495という、自分の感覚では国際学会なら妥当な相場だけど、国内学会と考えると高額なイベントなため、「大企業のサラリーマン向けイベント?」と参加するか逡巡したのですが、結果的には参加してよかったです。以下は参加したキーノート・チュートリアル・トークのメモと感想です。
Keynote
Looking Back on SciPy and to the Future SciPy Japan: Eric Jones, CEO, Enthought
- SciPy発展の歴史、家族のように共に過ごしたデベロッパー達の話。
- SciPyと関連パッケージは大学で本業の研究より開発にはまってしまった人々によって作られてきた。
- Scienceの本来の問題を解決しなければならない、そのためのPython。
実際、Pytyonは科学の発展に貢献している!
- ブラックホールの可視化
※スライドの元ネタはこちら→*1
- 重力波の研究
SciPy Japanを誰もが参加できる学際的な協力の場として広げたい。
- AIや機械学習の会ではない、Scienceの場にしたい。
- AIは魔法ではない。科学の問題を研究している人達のためのツール。
- AIの誤解を解いていく責任がある。
- トレーニングを提供し、演算のできる科学者仲間を増やそう。
- Scipy (US) 1回目に集合写真を撮らなかったのを後悔してるので今回は撮ろう! (ということで写真撮影)
Better late than never! Here’s the group picture of the first #ScipyJapan ! pic.twitter.com/4aJfAgU2kj
— Alexandre Chabot (@AlexChabotL) 2019年6月4日Tutorial
Advanced NumPy: Juan Nunez-Iglesias, Monash University
- 講師は "Elegant SciPy"(邦題 エレガントなSciPy ―Pythonによる科学技術計算)の著者のひとり。scikit-imageのコアデベロッパー、Pythonの講義歴多数。
- NumPyがどのようにメモリを使っているのか、次元を増やすやり方など。*2
Intro to Visualization: Manabu Terada,PythonED
- Jupyter notebook を使った @terapyon と @patraqshe 、@akucchan による可視化の講義。*3
Talk
Next-Level Art: Becoming More Creative with AI: Max Frenzel, Qosmo
- AI DJ project の話
- taktile という名前で Spotify で楽曲を提供しているらしい
daskperiment: 機械学習実験の再現性の担保: Masaaki Horikoshi, ARISE Analytics
- daskperimentの話
- 機械学習実験の再現を可能にするツール、daskperimentの紹介
- Logging tools があるが、見てない場合が多く、再現性が崩れたりするため、それを解決する
Re-run, Repeat, Reproduce, Reuse, Replicate: Transforming Code into Scientific Contributions: Fabien Benureau, Okinawa IST, Nicolas Rougier, INRIA
- 再現性に関して執筆した論文の紹介。 www.frontiersin.org
感想など
PyDataとどう違うの?ぐらいに思っていたので、初日に主催者の方から以下の話を聞き、
主催の方にお話を伺ったのですが、欧米のScipy conferenceではPythonを研究でちょっと使ってみたっていう科学者が集まって発表したりしている、アジアでもそういう場所を作りたい、Scipyをもっと科学研究に使って欲しいとの思いで開催しているとのこと #SciPyJapan
— nobolis (@nobolis_) 2019年4月23日2日目にキーノートを聞いて、両者の違いが腑に落ちました。
キーノート、チュートリアル、トークのいずれも非常に刺激的・役に立つ話が満載で、ほんとに参加してよかったし、みんな参加したらいいのに!って思うイベントでした。
ということで、Science × Pythonに興味があるみなさん、科学者のみなさん、来年はいっしょにSciPy Japan で盛り上がりましょう٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
*1:@akucchanのツイートで知った元ネタ。
Congratulations to Katie Bouman to whom we owe the first photograph of a black hole ever. Not seeing her name circulate nearly enough in the press.
— Tamy Emma Pepin (@TamyEmmaPepin) 2019年4月10日
Amazing work. And here’s to more women in science (getting their credit and being remembered in history) 💥🔥☄️ pic.twitter.com/wcPhB6E5qKNY timesの記事にもなったもよう。 www.nytimes.com
*2:Advanced NumPy のチュートリアルはほんとにadvancedで(あたりまえ)、 この熱い講義を真剣に受講したいと思い、前方の私の隣の席にやってきた @terapyon が隣で「(問題の意味が)わっかんねーよ」と呟きながら一緒に受講してくれた結果、前にいた若者(流暢に日本語を操る非日本人)がサポートしてくれ、私もその恩恵にあずかることができ、とても勉強になりました。エレガントなSciPy ―Pythonによる科学技術計算 が読みたくなる講義でした。
*3:TAとして参加するつもりが、できることもなく、自分のAnacondaのトラブルにより、誰よりも進捗ダメだった。しかし、自分のAnaconda環境がおかしいことになってるのに気がつけたのは収穫だった。 @patraqsheのアドバイスにより帰宅後無事問題解決できました。感謝。
- ブラックホールの可視化
※スライドの元ネタはこちら→*1